世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の保存・活用拠点として、尾鷲湾を望む高台に建設された。建物は、棚田の石垣のような基壇の上に、尾鷲ヒノキやスギの無垢材を用いた6,500本以上の柱が林立する「木の殿堂」とも呼ぶべき圧倒的な空間が広がる。4つの棟を繋ぐ外部廊下や軒下空間は、古道の木漏れ日を想起させ、周囲の自然景観と建築をシームレスに繋いでいる。構造面では、集成材に頼らず120mm角の無垢材を組み合わせた「三方向木格子」の耐力壁や、16.5mという巨大な片持ちの軒(キャンティレバー)を実現した独自の木質構造技術が駆使されている。伝統的な木組みを現代的なスケールへと昇華させ、熊野の風土と精神性を空間化した祈りの場の系譜を継ぐ建築である。
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