内浦湾を望む丘陵の緩やかな斜面に建つ、定員20名の精神障害者生活訓練施設である。5.4m角の正方形ユニットを角度をつけて並べ、その間にできる三角形のスペースをジョイントとして繋ぎ合わせる「部分の集合」による構成を採用している。建物全体に共通する大きなグリッドや通り芯を持たず、個々の場所の関係性がゆがみながら成立する独自の座標系を構築している。
この手法により、単調な片側廊下を排し、内部には多様なスケール感と眺望を持つ「居場所」が各所に生まれている。切り妻屋根の連なりは、外部からは一つの街並みのようなシルエットを形成し、位置によって見え方が刻々と変化する。機能によって明確に区切られた「部屋」ではなく、相互の関係性によって規定される不確かな境界線を提示することで、入居者にとっての落ち着きのある家でありながら、社会との繋がりを感じさせる空間を実現している。
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